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全国の空き家の数は846万戸!?空き家問題と住宅資産活用の考え方

空き家問題と住宅資産活用の考え方

日本経済は1960年代から1970年代にかけて高度経済成長を続け、1968年(昭和43年)にはGNP(国民総生産)がアメリカに続き世界第2位まで成長しました。

当時は、住宅戸数も5年で2割ほど増え続ける状況にも関わらず、総戸数が2,559万戸と少ないため、空き家率も4.0%程度と「住宅不足」の時代でした。

社会問題としての空き家

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その後経済成長の鈍化とともに、総住宅の増加率は2割が1割となり、近年では3%にまで減少しています。

一方、上昇率は減少しているものの、ストックとしては積みあがっている住宅に対し、日本の総人口の減少が始まり、全国的な空き家は右肩上がりの状況です。

全国の空き家の数は846万戸

2019年4月に発表された「平成30年住宅・土地統計調査」によると、全国の総住宅数は6,242万戸あり、そのうち空き家の数は846万戸で、空き家率は13.6%となんと住宅の約7件に1件が空き家となっています。

空き家の割合は徐々に高まっていますが、特筆すべきは「その他の空き家」に分類されている、いわゆる実家の空き家です。その数は約347万戸と平成25年の前回調査から約29万戸増加し、空き家の4割以上を占めるまでになりました。
統計上では最も空き家率が高い県は山梨県の21.3%で、次に和歌山県の20.3%、長野県の19.5%となっています。

ただし、山梨県は別荘などの「二次的住宅」も多いので、それを除いた場合には和歌山県18.8%、徳島県が18.6%、鹿児島県が18.4%とやはり地方都市が高い傾向にあることがうかがえます。

参考:総務省「平成 30 年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 結果の要約

2033年には空き家率が30%を超える

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この空き家の将来に関して野村総合研究所によると、現在はまだなだらかに増えている空き家率が、2018年以降は上昇スピードが高まり、2033年には30%を超えるものと予測しています。

参考:野村総合研究所「2030年度の新設住宅着工戸数は持家18万戸、分譲11万戸、貸家25万戸

同様の調査は富士通総研でも発表されており、細かい数値の差はあれども、将来空き家率が増加する可能性はかなり高いようです。

参考:富士通総研(FRI)経済研究所「空き家率の将来展望と空き家対策

この増加する空き家に対して個人レベルで対応できる方法はあまり多くなく、放っておいたら地価があがるので、保有することに価値があった時代は終わり、利用や活用でしか不動産の価値を発揮できない時代となりました。

さらに、利活用していない空き家は空き巣に入られる危険が高いなど防犯上のリスクが高く、特定空き家に認定されると固定資産税負担が急激にアップするという税務上のリスクを持っていることを認識する必要があります。
加えて空き家がある地域は、地域の美観や景観を損ね、住環境や地域ブランドの崩壊にもつながりかねないのです。

このように空き家問題は個人だけでなく地域の問題にも波及するので、まずは個人が主体的に動き解決する糸口を見いだす必要があるのです。

空き家活用に対する国の助成

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もちろん、国としても空き家問題解決のためにさまざまな助成や施策を行っています。その代表的なものは以下のとおりです。

①空き家等対策の推進に関する特別措置法(空き家特別措置法)

適切な管理が行われていない空き家が地域の住民の生活環境を悪化させ、生命や財産を脅かすことのないように、空き家の活用を促進することを目的として2015年に施行された法律です。
前述のとおり「特定空き家」に指定されると所有者は固定資産税の負担が増えることに加え、それが改善されずに放置されると行政代執行によって取り壊されることになります。

②空き家にかかる譲渡所得の3,000万円特別控除

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空き家にかかる譲渡所得では「相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます」と特例が定められています。

引用:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

この特別控除における要件や手続きは少々複雑なので、税理士などの専門家に相談する必要がありますが、適用が可能なら実施を検討すべきだと思います。

③空き家問題の解決を図るためのその他の事業

ほかにも、空き家を解体し跡地をポケットパークに活用するための除去に対する補助を行う事業もあれば、住として流通させるために「空き家バンク」などでデーターベース化し流通促進を行う団体を支援する事業などがあります。

さらに国土交通省は、住宅を「資産」と捉え、空き家の積極的な活用や既存住宅の流通・推進を図るため、2015年に「住宅資産活用推進事業」(その後「住み替え等円滑化推進事業」に名称変更)を立ち上げました。
高齢者の所有する住宅の有効活用、スムーズな売却、老後資金の確保などのさまざまな取り組みを行うことで、この深刻化する空き家問題に歯止めをかけようとしています。

以上のように、空き家をただ単に取り壊すだけでなく、住宅として流通させたり、用途転換を促したり、また発生そのものを防ぐような施策が行われています。それは裏を返せば空き家問題の深刻さを反映しているのかもしれません。

住宅を活用し、負動産から富動産へ

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人口減少と高齢化がますます進む中では、空き家は放置しても何ら解決にならず、自分の資産といえども、その利用や活用には社会的責任を果たさなければならない時代となりました。

今後は自宅を自宅としてのみではなく、住宅資産としてとらえ、積極的にその活用を図るべきだと考えられます。

 

 

 

 

田井能久

田井能久

不動産コンサルタント 不動産鑑定士として25年のキャリアを持つ。訴訟や調停、並びに相続等の税務申告のため の鑑定評価書の作成が得意。 最近はマレーシアを中心としたビザの取得と海外移住のサポ ートを通して、トータルな資産コンサルティングも展開している。

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